AI(人工知能)ができること、できないこととは?身近なビジネスにおける活用事例について解説!

近年、AI(人工知能)の技術を活用した事例が増えてきています。AIには、画像認識や音声認識、自然言語処理や分析・予測といった作業が得意な一方で、できないことや苦手なことも存在します。

今回はAIの仕組みと特徴について触れたうえで、できることとできないことを解説していきます。実際にビジネスシーンでAIが活用されている事例についても紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

AI(人工知能)の仕組みとは?

AI(人工知能)の仕組みを理解するのに必要な知識として、深層学習(ディープラーニング)が挙げられます。また、AIは個別の分野にのみ強みを持つ特化型AIと、様々な役割や課題を処理することができる汎用型AIの2つに分かれます。ここからは、AIの根幹を支える技術とAIの種類について紹介します。

機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)

AI(人工知能)の仕組みは、機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の2つの学習方法で分類することができます。機械学習とは、人間がコンピューターに対してデータと指示を与えることで、自律的に分析を行いデータの傾向などを学習する技術です。例えば、コンビニエンスストアの来客分析の仕組みは、この機械学習の技術を使っています。

一方で、深層学習とは人間の神経細胞の仕組み(ニューラルネットワーク)を模した学習方法です。大量のデータを読み込み、特徴の識別や状態予測を自動的に行います。例えば、自動車の自動運転技術は、この深層学習の技術を応用したものです。

特化型AIと汎用型AI

AI(人工知能)は、特化型AIと汎用型Aの2つに分けられます。特化型AIとは、特定の分野・作業にのみ働くAIのことです。スマートフォンの顔認証を行う画像認識やSiriの音声認識は、すべてこの特化型AIに分類されます。

一方で、汎用型AIとは様々な役割や課題を処理できるAIを意味します。アニメの世界で描かれるドラえもんや鉄腕アトムが汎用型AIの代表例です。しかし、現時点では実用化に向けて多くの課題があります。そのため、特化型AIの範疇を超える作業は現状処理することが難しいと考えられています。

AI(人工知能)ができること4選

AI(人工知能)ができることは、大きく分けると画像認識、音声認識、自然言語処理、分析・予測の4つです。ここからは、それぞれの技術的特徴と仕組みの解説をしていきます。

画像認識

AI(人工知能)は、カメラに映っている画像を認識することができます。例えば、画像に映っているものは山なのか海なのか、またどの人物が映っているのかを判断することが可能です。画像データから特徴を抽出して、すでに学習しているデータと情報をすり合わせながら分析していきます。スマートフォンの顔認証や写真フォルダの人物特定など、身近なデバイスで応用されている技術です。

音声認識

AI(人工知能)は、人間の音声や楽器やスピーカーからの音を認識することができます。音声認識とは、音の波形から抽出した文字や単語を文章として認識したり、音声データをテキストデータに変換したりする技術です。会見録の自動作成やスマートスピーカーなどで実用化が進められている技術です。

AI(人工知能)は、人間の音声や楽器やスピーカーからの音を認識することができます。音声認識とは、音の波形から抽出した文字や単語を文章として認識したり、音声データをテキストデータに変換したりする技術です。会見録の自動作成やスマートスピーカーなどで実用化が進められている技術です。

自然言語処理

AI(人工知能)は、入力されたデータから語句や文の構造などを分析して、その意味や文脈を理解することができます。人間が用いるコミュニケーション言語は曖昧な部分が多いため、これまでの研究ではAIが人間の言葉を理解することが困難とされていました。しかし、2000年代以降ビッグデータの時代に突入し、人間が発する言葉のクセや特徴がデータとして積み上がってきているため、自然言語処理の技術は飛躍的に進歩しています。現在は、主にチャットボットの自動返信システムなどで実用化されている技術です。

分析・予測

AI(人工知能)は、これまでの経験則を根拠に入力データの分析や予測変換をすることができます。例えば、チャートの動きから今後の株価の推移を予測するコンピューターや天気予報やイベントデータから翌日の来客数の予測をするシステムに用いられています。すでに学習しているデータ量が多いほど精度の高い分析・予測が可能です。

AI(人工知能)ができないこと、苦手なこと

AI(人工知能)は、人間の能力を超える得意分野がある一方で、できないことや苦手なこともあります。人間の感情を汲み取ったコミュニケーション、クリエイティブな分野の活動、状況を踏まえた個別対応はその代表例です。ここからは、AIの弱点に焦点を当てて詳しく説明していきます。

人間の感情を汲み取ったコミュニケーション

AI(人工知能)は、人間の感情まで汲み取ってコミュニケーションを取ることができません。コンピューターが扱うデータが画像や音声、テキストデータであるため、簡易的に感情を図るセンサーがないことが理由です。実際のビジネスの現場では、相手が発した言葉の裏にある感情を読み取って営業活動をします。言語に関する膨大なデータがあっても、相手の感情を完璧に読み取る人間のようなAIを作ることは難しいでしょう。

クリエイティブな分野の活動

楽曲作成や記事執筆、アート作成といったクリエイティブなタスクは、AI(人工知能)の苦手とする分野です。そもそも、AIは過去に学習したデータをもとに、入力データの特徴を把握して分析・予測していくという流れがあります。そのため、これまで無かったものを生み出すという作業ができません。AIが人間の直感や感性を完璧に模倣するには、もう少し時間がかかりそうです。

状況を踏まえた個別対応

AI(人工知能)は、状況を踏まえた個別対応が苦手です。例えば、チャットボットでよく受け付ける質問や十分なデータがある顧客に対しては正確に返答する可能性は高いですが、データの少ない顧客の個別対応については正確性を欠きます。複雑多岐な人間の思考を完全にデータでカバーするためには、AIが学習するデータの量を増やす必要がありますが、コストの面を考慮すると難しい課題です。

AI(人工知能)がビジネスに使われている事例

AI(人工知能)は、すでに身近なビジネスシーンに応用されています。ここからは、AIを活用している代表的な事例について紹介していきます。

SNS投稿画像の解析

AIサービスを提供するBrainPadは、「Crimoson Hexagon ForSight™ Platform」というサービスでSNS投稿画像の解析を行っています。例えば、顧客である日本コカ・コーラ株式会社の商品が映っている画像を自動で認識して、同一画像内にいる人物や背景の特徴を解析します。主にAIの画像認識技術、分析・予測技術が応用されており、商品の利用実態についてのヒントを得ることができるサービスです。

画像引用・参考:BrainPad「SNS投稿画像による商品利用実態の解析」

記者会見の自動文字起こし

徳島県では、知事の記者会見の会見録の作成と要約にAI(人工知能)を活用しています。AIの音声認識技術を利用することで、会見録の作成に費やしていた時間を約5分の1に削減し、職員の負担を軽減しています。また、自然言語処理の技術を応用して要約率に応じた会見録の要約を自動で作成することが可能です。長文を読むことに抵抗のある県民に対して情報公開が進んだことで、記者会見のフィードバックが受けられるようになったという成果が報告されています。

画像引用・参考:徳島県ホームページ「徳島発!『AI要約サービス』実証実験の実施について」

AIチャットボット

AI(人工知能)の自然言語処理の技術を応用したサービスとして、地方公共団体のAIチャットボットが挙げられます。先述の通り、AIチャットボットの正確性は学習データの充実度によって左右されます。そこで、十分な学習データが集まらない小規模地方自治体に対して、共通の学習データを使ってAIチャットボットを育てるサービスをNECは開発したのです。これによって、チャットボットの回答の正確性が飛躍的に高まり、住民にとっての実用的な相談窓口として機能しています。

画像引用・参考:NEC「地方公共団体との共創 『みんなで育てる』AIチャットボット」

需要予測型自動発注システム

AI(人工知能)の分析・予測を応用した事例として、株式会社リオン・ドールの需要予測型自動発注システムが挙げられます。導入後に行われたシミュレーションでは、商品の欠品日数が6.5%改善され、ロス金額も25〜40%低減したという成果が報告されています。AIが小売業界の人手不足の問題に貢献している事例の一つです。

画像引用:日経新聞「NEC、AIを活用した小売業界向け需要予測型自動発注システムを提供開始」

参考:NEC「NEC、AIを活用した小売業界向け需要予測型自動発注システムを提供開始、発注業務の効率化・ロス削減に貢献」

AI(人工知能)ができることまとめ

AI(人工知能)は、機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の技術を活用した仕組みです。学習データを蓄積させることで、画像認識や音声認識、自然言語処理や分析・予測の正確性が増します。実際のビジネスシーンでもSNS投稿画像の解析、記者会見の自動文字起こし、AIチャットボット、需要予測型自動発注システムなどの実用例が報告されています。

一方で、人間の感情を汲み取ったコミュニケーション、クリエイティブな分野の活動、状況を踏まえた個別対応は苦手な分野です。AIが得意とすることは積極的に活用しつつ、人間にしかできないことを正しく理解することで、AIと人間が共存する社会が実現する未来が訪れる事でしょう。

この記事を書いた人

AIに関する情報を分かりやすく発信していきます。G検定取得。日々、最新のテクノロジーへのキャッチアップやデータサイエンスの学習に奮闘中。

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