2010年以降、「データサイエンティスト」という職業を耳にする機会が多くなってきたのではないでしょうか。データサイエンティストとは、ビッグデータを扱うスペシャリストです。データ分析を通してビジネス課題の解決を目標として活動します。
今回はデータサイエンティストが生まれた背景や具体的な仕事内容、主に必要な3つのスキルを解説します。データサイエンティストの将来性やスキルチェックリストについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、企業や組織の様々な意思決定の局面において、データを基にした合理的な助言、または決定自体を行うことが求められる職種です。ビッグデータの誕生とともにその需要が増してきています。ここからは、データサイエンティストの具体的な仕事内容にもふれつつ、その職種の説明をしていきます。
データサイエンティストが求められている背景
そもそもデータサイエンティストが誕生した背景には、2010年以降にビッグデータの時代がやってきたことが挙げられます。IT大国アメリカを中心に、大量のデータセットを作成、管理、操作する技術が発達したことで、ビッグデータはビジネスにおいても私たちの生活においても欠かせない存在となりました。データサイエンティストは、こうしたビッグデータから市場トレンドや顧客需要を分析して、企業に対して課題解決の手助けをする仕事です。情報化が加速するこれからの時代において、データサイエンティストが求められる局面は増えていくでしょう。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストは、ビジネス課題の抽出からデータの収集と分析、抽出データのクレンジングと加工、分析結果の共有、課題解決の実行まで仕事の内容には広い幅があります。以下で具体的な仕事内容と流れをまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。
仕事内容 | 詳細説明 |
ビジネス課題の抽出 | 企業が抱えているビジネス課題を洗い出す必要なデータセットを検討する達成目標を明確にする |
データの収集と分析 | APIを通じてデータを収集するHadoop、MySQL、NoSQLを用いてデータベースを作成するデータの解析をする |
データのクレンジング | データのノイズを埋めるAIの精度を高めるためにデータの加工をする |
仮説の検証 | 課題解決のつながる情報を精査する分析や照合を通して分かったことをレポートにまとめる |
課題解決の提案 | データ分析を根拠として課題解決方法を提案する場合によっては顧客へのプレゼンテーションを行う |
データサイエンティストに求められる3つのスキル
データサイエンティストの仕事の範囲は非常に広く、求められているスキルも多様です。中でも統計・データを扱うスキル、情報工学・ITスキル、ビジネススキルは必須となります。ここからは、それぞれのスキルの内容について解説していきます。
①統計・データを扱うスキル
データサイエンティストは、その名の通りデータを扱うスペシャリストです。まず、収集したビッグデータを最低限分析できるレベルまで適切に処理する必要があります。そこで必要になるのが統計学の知識とデータビジュアライゼーションの能力です。
ビッグデータからパターンを見つけ出すには、人間の能力には限界があるため、データサイエンティストは機械学習やデータマイニングを活用して統計的なモデルを構築します。この時に統計学の知識がないと、分析目標を定義することすらできません。また、「集計したデータの可視化」を意味するデータビジュアライゼーションの能力があれば、データを数値順に並べ替えたり、時系列順に整えたりすることができ、分析の作業の手助けとなります。
②情報工学・ITスキル
データサイエンティストがデータの分析を行うときに必要なのが、情報工学・ITに関するスキルです。まず、機械学習や統計処理に必要なプログラミングの仕組みや言語の理解は必須となります。例えば、データサイエンティストは以下のような言語を活用するのが一般的です。
プログラミング言語 | 特徴 |
Python | 人工知能(AI)の開発や統計処理に活用される |
R言語 | オープンソースで利用でき、統計解析やデータ分析に特化している |
SQL | データベース上で最も普及しており、データ抽出に活用される |
また、さらに複雑なシステムの開発や設計を伴う分析を行いたい場合には、コーディングを行う必要があります。様々なツールの使用方法を身に付けておくことで、より広範囲な開発が可能です。
③ビジネススキル
データサイエンティストは、ビジネス課題を解決に向かう作業の過程で多くの関係者とつながりを持ちます。例えば、課題を洗い出す過程でヒアリングをするときに、企業内部の関係者やクライアントとの適切なコミュニケーションが求められます。また、データの収集を営業部、データの分析を技術部と協力して行う場合には、組織を動かすマネジメント能力が必要です。
さらに、課題解決の方法を提案する際にはプレゼンテーションを行う場合もあるでしょう。これらのビジネススキルは、幅広いデータサイエンティストの業務において、常に求められるものです。
データサイエンティストのスキルチェック方法
データサイエンティストのスキルをチェックするためには、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施しているデータサイエンティストのスキル向上のための取り組みに参加したり、「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第4版を活用してセルフチェックを行ったりする方法があります。ここからは、それぞれの内容について詳しく解説していきます。
一般社団法人データサイエンティスト協会の取り組みへの参加
一般社団法人データサイエンティスト協会とは、比較的新しい職業であるデータサイエンティストに必要な知識やスキルを定義し、IT人材のスキル向上、業界の発展を目的として活動している組織です。データサイエンティストの育成カリキュラムを作成したり、人事評価の制度や基準を広める活動を行っています。協会が主催するオンラインテストや交流会、シンポジウムの参加を通して、データサイエンティストとしてのスキルチェック、市場価値の把握が可能です。
画像引用・参考:一般社団法人データサイエンティスト協会「公式ホームページ」
「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第4版
一般社団法人データサイエンティスト協会が一般公開している「データサイエンティスト スキルチェックリスト」を活用することで、データサイエンティストとしてのスキルレベルを確認することができます。2021年11月19日にこれまでの第3版を改定した第4版が公開されています。チェックリストは全部で572項目の構成です。興味のある方は、ぜひ以下よりご確認ください。
画像引用・参考:一般社団法人データサイエンティスト協会「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第4版Excel version
データサイエンティストの将来性
データサイエンティストは人工知能(AI)に代替されにくい職種であり、世の中にビッグデータを扱える人材は少ないことから存在価値が高くなっています。ここからは、その将来性について解説していきます。
データサイエンティストは人工知能(AI)に代替されにくい
データサイエンティストの仕事は、ビジネス課題の抽出からデータの収集と分析、抽出データのクレンジングと加工、分析結果の共有、課題解決の実行まで幅広いのが特徴です。しかし、どの仕事内容も決して単純作業ではありません。人と人とのコミュニケーションが求められる局面があり、人工知能(AI)には苦手とされている分野です。また、データサイエンティストは人工知能を活用してビジネスの課題解決に活かします。そのため、人工知能を扱う側であり、人工知能自体には代替されにくい立ち位置にいると考えられます。
ビッグデータを扱うため希少価値が高い人材
2010年以降、メガテック企業を中心にビッグデータの活用が世界的なトレンドになってきています。一方で、ビッグデータを管理したり、分析したりする能力がある人材は不足しています。
そもそも、「データサイエンティスト」という言葉が広まっていったのはビッグデータの時代が到来してからです。そのため、現在は高度IT人材の育成段階であると言えるでしょう。データサイエンティストに必要な知識やスキルを取得して、実践的なビジネスの現場で活かしている人材は少なく、企業にとっても存在価値が高い人材です。
データサイエンティストに必要なスキルまとめ
データサイエンティストとは、ビッグデータを扱うスペシャリストです。データ分析を通してビジネス課題の解決を目標として活動します。また、仕事の範囲は非常に広く、求められているスキルも多様です。中でも統計・データを扱うスキル、情報工学・ITスキル、ビジネススキルは必須となります。
さらに、データサイエンティストは人工知能(AI)に代替されにくい職種であり、世の中にビッグデータを扱える人材は少ないことから存在価値が高くなっています。これからデータサイエンティストを目指そうと考えている方や、スキルを向上させてステップアップを検討している方は、一般社団法人データサイエンティスト協会が公開している「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第4版の受講がおすすめです。