データサイエンティストとは?おすすめの資格やその難易度、合格率を解説

インターネットショッピングの購入履歴や検索履歴といったビッグデータを活用することで、効果的なマーケティング戦略の組み立て、課題解決の提案を行うのがデータサイエンティストの仕事です。専門性が高い職業であるため、資格取得についての情報について詳しく知りたいという方も多いでしょう。

今回は、データサイエンティストの役割やおすすめの資格について解説していきます。資格取得がおすすめな理由やよくある質問についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

データサイエンティストとは?

データサイエンティストは、ビッグデータを根拠として企業の抱える課題解決を目指す職業です。データの収集から分析、クライアントへのフィードバックまでを一貫して行います。ここからは、データサイエンティストの役割、年収と求人状況について解説します。

データサイエンティストの役割

データサイエンティストの役割は、企業の事業利益への貢献です。例えば、売り上げが落ちている企業の場合、まずはなぜ売り上げが落ちているのかを解明するために、様々なタイプのビッグデータを収集していきます。次に、データを扱いやすいように成形して分析をしていきます。ここで注意したいのが、データサイエンティストはデータ分析を終えた時点で業務が完了しない点です。

最後に、データサイエンティストはクライアントに対して適切なフィードバックを行います。このような手順で企業が現状抱える課題についての解決方法を提案し、事業利益の最大化を目指しているのです。

データサイエンティストの年収と求人

日本の転職・求人情報を掲載する専門サイト「求人ボックス」によれば、正規雇用のデータサイエンティストの平均年収は約723万円です。また、派遣社員の平均時給は約2606円です。(2022年11月28日更新時)国税庁が発表した資料によると、2022年における日本全体の平均年収が約443万円であることから、データサイエンティストの年収は比較的高い傾向にあるといえるでしょう。

また、日経クロストレンドによると2017年から2019年にかけて、データサイエンティストの求人数は増加傾向にあることが報告されています。つまり、データサイエンティストの需要は日本社会全体に広がっており、この傾向は今後も継続すると考えられています。

参考・画像引用:求人ボックス給料ナビ「データサイエンティストの仕事の年収・時給・給料」
参考:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」

データサイエンティストにおすすめの資格5選

データサイエンティストは、非常に専門性が高い職業です。また、実績を上げるためには実務で使えるスキルのほかに正しい知識が必要です。資格試験は、データサイエンティストとして必要な知識を高めるのに適しています。ここからは、データサイエンティストにおすすめの資格試験を5つ紹介していきます。

統計検定

統計検定は、一般社団法人「統計質保証推進協会」が主催する全国統一試験です。一般社団法人「日本統計学会」が認定しており、政府関係機関の後援も受けているため、認知度が高い資格試験であると言えます。試験のレベルは5つに分かれていて、データサイエンティストを目指している方は準1級以上の受講がおすすめです。

合格率1級「統計数理」:23.0%1級「統計応用」:15.8%2級:41.7%3級:61.8%4級:56.2% 
試験日程年間1回(例年6月下旬頃実施)
受験料1級:6,000円2級:5,000円3級:4,000円4級:3,000円

画像引用・参考:一般財団法人 統計質保証推進協会「統計検定とは」

データサイエンティスト検定

データサイエンティスト検定は、一般社団法人「データサイエンティスト協会」が主催する資格試験です。IT系の資格の中では比較的難易度は低く、初級者から中級者におすすめです。アシスタントレベル、アソシエート、フルデータサイエンティスト、シニアの4つのカテゴリーに分かれています。肩書きや実績としてデータサイエンティストを名乗りたい方はフルデータサイエンティスト以上のカテゴリーの受験をおすすめします。

合格率不明
試験日程年間1回(例年春頃実施)
受験料学生:5,000円一般:10,000円

画像引用・参考:一般社団法人データサイエンティスト協会「DS検定™★」

G検定・E検定

G検定は、日本ディープラーニング協会が主催するジェネラリスト向けの資格試験です。ディープラーニングの基礎知識を理解し、人工知能(AI)を活用するための手法を学ぶことができます。

また、E検定は同協会が主催するエンジニア向けの資格試験です。ディープラーニングの理論を理解し、人工知能を実装する能力を磨いていきます。どちらも人工知能に関する最新情報を体系的に学習することができるため、データサイエンティストを目指している方におすすめです。

合格率G検定:65%E検定:78%
試験日程G検定:年間3回(例年3月、7月、11月実施)E資格:年間2回(例年2月、8月実施)
受験料【G検定】学生: 5,000円一般:12,000円【E検定】学生:22,000円一般:33,000円

画像引用・参考:日本ディープラーニング協会「資格試験について」

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する資格試験です。受験する試験の区分によって難易度は大きく異なりますが、中級者から上級者までが受験生のボリューム層と言えます。IT業界においては数少ない国家資格としても認知されており、特に転職活動で即戦力として企業で活躍したいと考えている方や海外でデータサイエンティストとして働くことを目指している方におすすめです。

合格率基本情報技術者試験:28.5%情報セキュリティマネジメント試験:47%
試験日程年間2回(例年春、秋頃実施)
受験料5,700円

画像引用・参考:IPA(情報処理推進機構)「情報処理技術者試験」

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する資格試験で、情報処理技術者試験と同じく国家資格に分類されます。試験難易度が高く合格率が低いため、前述の統計検定やG検定・E検定の取得後に受験する方も多くみられます。データベースの設計や構築についての問題が出題されており、特にIT業界でエンジニアを目指している方におすすめです。

合格率15.8%
試験日程年間2回(例年春、秋頃実施)
受験料5,700円

画像引用・参考:IPA(情報処理推進機構)「データベーススペシャリスト試験」

データサイエンティストに資格が必要な理由

データサイエンティストは、必ずしも資格が必要な職業ではありません。しかし、資格を取得しておくことで、データサイエンスに関する知識の幅や情報の質が向上したり、対外的な説得力が増したり、転職・就職活動に有利に働いたりといったメリットがあります。ここからは、それぞれのメリットの内容について詳しく解説していきます。

知識の幅、情報の質が向上する

データサイエンス系の資格試験は、近年出題範囲の幅が拡大している傾向にあります。また、次々に新しい資格試験が設立されています。理由は、データサイエンスは情報のアップデートが必須の分野であるためです。

例えば、データサイエンティスト検定は2021年9月に新設された民間の試験です。資格試験に取り込むことによって、最新情報を学習して知識の幅が広がるだけではなく、自信を持って実務にも活かすことができるでしょう。

対外的な説得力が増す

データサイエンティストの仕事は、データの収集や分析だけではなく、クライアントへの適切なフィードバックまで含まれています。例えばフィードバックの時に、同じプレゼンテーション資料でも資格保有者から説明を受けた方が安心感があると捉えるクライアントも多いでしょう。

また、資格を保有した後であれば、名刺に肩書を追加することが可能です。データサイエンス系の資格取得は対外的な説得力が増すという点で大きなメリットがあると言えます。

データサイエンティストとして転職、就職するのに有利

データサイエンス系の資格を保有している場合、転職や就職活動に有利に働く場合があります。例えば、IPA(情報処理推進機構)が主催している情報処理技術者試験は、IT業界の資格試験の中で唯一の国家資格です。大手IT企業の採用条件として明記されていることもあります。特に、これからIT業界に就職する方やキャリアアップを考えている方は、まず始めにデータサイエンス系の資格試験を受講することをおすすめします。

データサイエンス系資格の取得に関するよくある質問

データサイエンス系の資格取得を目指している方の中には、取得する資格の順番に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。ここからは、データサイエンティストにおすすめな資格に関するよくある質問について解説していきます。

資格取得のおすすめの順番は?

今回紹介したデータサイエンティストのおすすめ資格の中で、初学者がまず取得するべきなのが統計検定です。統計学はデータサイエンス学習の根幹を支える学問であるためです。その後に、データサイエンティスト検定やG検定・E検定で知識を派生させて、情報処理技術者試験、データベーススペシャリスト試験と、必要に応じてステップアップしていきましょう。

データアナリストとの違いは?

データサイエンティストと似ている職業にデータアナリストというものがあります。データアナリストは、基本的な統計学を用いてデータ分析を行い、統計学の知識がない人でも理解できるように分析の結果を説明します。一方で、データサイエンティストは、統計学と機械学習を用いてさらに高度なデータ分析を行う職業です。両者とも統計学の知識が必要という点で共通はありますが、効果的な資格の種類には違いがあるため注意しましょう。

データサイエンティストの資格まとめ

データサイエンティストの仕事は、ビッグデータを活用した企業の課題解決の提案です。顧客データや商品データなどを分析して、効果的なマーケティング戦略の組み立て、事業利益の最大化を目指します。

データサイエンティストは非常に専門性が高い職業であり、実績を上げるためには実務で使えるスキルのほかに正しい知識が必要です。統計検定やG検定・E検定では、人工知能(AI)に関する基礎的な知識を身に着けることができます。また、情報処理技術者試験やデータベーススペシャリスト試験、データサイエンティスト検定では、より専門性が高い実務的な知識を学ぶことができるでしょう。特に、これからデータサイエンティストを目指す方やスキルアップを図りたい方は、データサイエンス系資格の取得がおすすめです。

この記事を書いた人

AIに関する情報を分かりやすく発信していきます。G検定取得。日々、最新のテクノロジーへのキャッチアップやデータサイエンスの学習に奮闘中。

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