レコメンドエンジンとは?
レコメンドエンジンの基本
レコメンドエンジンとは、ユーザーの好みや関心に合わせたコンテンツ(商品、サービス、Webページなど)をオススメする仕組みやツールのことを指します。
レコメンドエンジンは、個々のユーザーの行動履歴、属性情報、商品の特徴などの情報を利用して、関連性が高いコンテンツをユーザーにオススメすることで、ユーザー体験の向上や売上の増加に役立ちます。
インターネットサービス、eコマース、動画配信サービスなど、さまざまなサービスでレコメンドエンジンは利用されており、例えばYouTubeのオススメ動画やAmazonのオススメ商品などにも活用されています。
レコメンドエンジン導入のメリット
レコメンドエンジンの導入によって、売上の向上が期待できます。主な理由は以下の3つです。
- ユーザー体験が高まり、リピーター醸成に繋がる。
- 商品のアップセルやクロスセルが期待できる。
- 新しいコンテンツとの出会いの創出
セレンビリティとは?
レコメンドエンジンの仕組みと種類
では、レコメンドエンジンはどのような仕組みでユーザーにコンテンツをおすすめしているのでしょうか?その仕組みは大きく4つに分けることができ、精度や導入時のメリットデメリットが異なります。
ルールベース
ルールベースのレコメンドエンジンは、4つの中で一番シンプルで実装難易度も低いレコメンドシステムです。
あらかじめ決めておいたルールに従って、コンテンツのレコメンドを行います。例えば「商品Aを買った人には商品BとCをオススメする。」「3回訪問しても商品を購入しないユーザーにはクーポンを発行する。」などです。
ユーザーの多様な好みに対応するためには、細かくルールを設計する必要があり、あまり現実的ではありません。そのため、精度にやや難があるのがルールベースの欠点です。
コンテンツベース・フィルタリング
コンテンツベースフィルタリングとは、コンテンツのメタ情報(価格、カテゴリ、色 etc)やテキスト情報を元に、コンテンツ同士の類似度を算出し、近しいコンテンツをレコメンドする仕組みです。
各メタ情報の値の類似度を精度高く計算し、表現するためには、ドメイン知識が必須となる点が導入の際の注意点です。また、似たようなコンテンツばかりがオススメされ、セレンディピティ(新しい出会い)が乏しくなってしまうという欠点もあります。
協調フィルタリング
協調フィルタリングとは、ユーザーの購買履歴やサイト内の行動履歴などの情報を元にして、商品をレコメンドする仕組みです。
協調フィルタリングには。行動履歴からユーザー同士の類似度を計算して商品をレコメンドする「ユーザーベースレコメンド」と商品同士の類似度を計算してレコメンドする「アイテムベースレコメンド」の2つがあります。
前述したコンテンツベースフィルタリングと比較すると、商品に関する情報(価格、カテゴリ、色 etc)が少なくても導入が可能である点がメリットです。
一方で、新規のユーザーや商品は閲覧履歴などの情報が少ないため、レコメンドが上手く機能しないという注意点があります。(コールド・スタート問題)
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、複数のレコメンドエンジンを組み合わたレコメンドエンジンのことです。お互いのレコメンドエンジンの弱点を補完することで、より精度や実装難易度が向上することが期待できます。
例えば、コンテンツベースフィルタリングと協調フィルタリングを組み合わせることで、初期のコールドスタート問題を解消しつつ、データが溜まった後は協調フィルタリングを利用することで精度を担保することが可能です。
レコメンドエンジンの活用事例
アパレルEC運営「株式会社ブルーメイト」:客単価130%向上! コロナショックを乗り越え、ECでのスピード感のある商品展開を目指すブルーメイトの挑戦
アパレルECサイトを運営する株式会社ブルーメイトでは、AIを活用したレコメンドエンジンの導入によって、顧客単価が130%増加したとのこと。
同社では、ECサイトでの購入ユーザーは実店舗で購入するユーザーに比べ、トレンドに敏感なユーザーが多い傾向があると仮説。レコメンドによる商品提案が、トレンドに敏感なお客様のニーズにマッチし、クロスセルに役立った。
(参考:客単価130%向上! コロナショックを乗り越え、ECでのスピード感のある商品展開を目指すブルーメイトの挑戦)
レコメンドエンジンの実装方法
レコメンドエンジンを利用するためには、ASPを利用するタイプとオープンソースを活用するタイプがあります。
ASPを利用する方法
ASPとは、Application Service Providerの略でインターネットを介して提供されるアプリケーションのことです。「Shopify」や「EC CUBE」のようなECサイト構築プラットフォーム独自のアプリケーションもあります。
ASPはクラウドサービスのため、自社でサーバを構築する必要がありません。また、基本的な機能が最初から実装されているため、導入が簡単に行えるというメリットがあります。一方で、カスタマイズ性に乏しいため、柔軟な運用ができない点がデメリットです。
オープンソースを利用する方法
また、オープンソースを利用して、自社独自のレコメンドエンジンを実装する方法もあります。独自開発のため、自社の商材や戦術に合わせて柔軟なレコメンドエンジンを開発することができる反面、開発に費用や時間がかかる点がデメリットとなります。