自動運転はいつ実用化される?6段階の自動運転レベルと主要メーカー5社の現状を解説!

近年、自動運転の技術開発が進められているニュースが飛び交っています。一方で、「実用化はまだなの?」という疑問を持っている方も多いでしょう。自動運転はすでに6段階のうちのレベル3まで実用化しています。

今回は自動運転のメリット、自動運転レベルの解説、技術開発を行う企業の取り組みと現状について紹介します。読み終えたときには、自動運転が実用化する未来がはっきりと理解できるはずですので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

自動運転のメリット

自動運転を全国的に導入することにより、交通事故数の減少、渋滞の緩和、スケジュールに沿った移動が可能になるといったメリットがあります。ここからは、これらのメリットの詳細について解説していきます。

交通事故数の減少

交通事故の発生原因の多くは、操作ミスや安全不確認、前方不注意といったヒューマンエラーが関係しています。また、人間の不注意による交通事故は高齢者に多い傾向があります。2021年度の高齢者が起こした交通事故のうち、約36.7%が安全不確認、約11.0%が前方不注意、約7.3%が操作ミスによるものでした。自動運転が実用化されることで、これらのヒューマンエラーが発生しにくくなることが考えられます。

参考:警視庁「防ごう!高齢者の交通事故!」

渋滞の緩和

自動運転が多くの自動車に実用化されることによって、渋滞の緩和が期待できます。自動運転はGPSデータや速度データ、車間距離や走行時間帯などの複数要因を加味して、最適な速度でのドライビングや経路を選択するでしょう。また、渋滞の原因となる交通事故が減ることで、スケジュールに沿った移動が可能になります。

そもそも自動運転レベルとは?

自動運転には、運転のアシストから運転の完全自動化まで6段階の自動運転レベルが与えられています。ここからは自動運転レベルの解説と現状について紹介していきます。

自動運転レベルは0~5の6段階

自動運転はその達成率によって0~5の6段階のレベルに分けられています。それぞれの自動運転レベルの名称と概要は以下の通りです。

自動運転レベル名称概要
自動運転レベル0運転自動化なし運転者がすべての運転操作を実行
自動運転レベル1運転支援システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを条件下で部分的に実行
自動運転レベル2部分運転自動化システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を条件下で部分的に実行
自動運転レベル3条件付運転自動化システムがすべての運転操作を一定の条件下で実行作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に対応
自動運転レベル4高度運転自動化システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を一定の条件下で実行
自動運転レベル5完全運転自動化システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を条件なしで実行

参考:国土交通省「自動運転のレベル分けについて」

一般的に自動運転レベル0~2の範囲は運転主体が人間であるのに対して、自動運転レベル3~5の範囲では運転をシステムが主体で行うことになります。また、自動運転レベル1~4は走行範囲が限定的であるのに対して、自動運転レベル5は走行範囲に限りがありません。

現在は自動運転レベル3まで実車化

現在の自動運転はレベル3まで達成されています。ドイツの自動車メーカーアウディは2017年に自動運転レベル3の乗用車「Audi A8」を一般販売しています。また、国内ではホンダが2020年に「レジェンド」を発表し、自動運転レベル3のAIを搭載する乗用車の販売が始められました。

自動運転レベル3を達成している自動車は、別名「アイズオフ」と呼ばれ、走行中に視線を前方から外して運転席でくつろぐことが可能です。日本では2020年4月に「改正道路交通法」と「改正道路運送車両法」が発表され、高速道路などの自動車専用道路に限って最高速度60㎞/時間までの自動車操作ならば「自動運行装置」の使用が可能となっています。

自動運転が達成されたら免許はいらない?

「完全自動運転が達成されたら運転免許証は必要ないのでは?」という意見がありますが、そう簡単には行かないでしょう。例えば飛行機の操縦は50年以上前から自動運転に切り替わっていますが、当然パイロットは飛行機の操縦免許を持っています。これはシステムが稼働しなかった場合など、もしものときにパイロット自身が操縦桿を握るためです。このように、完全自動運転が実用化されても、自動車の操縦者は運転免許証の取得と保持が義務化され続けると考えられます。

自動運転の実用化はいつ?予測を紹介

自動運転の実用化は先端企業ですでにレベル3まで達成されています。しかし、一般販売されているすべての車に普及するまでには至っていません。ここからは、自動運転が実用化される未来の予測を自動運転のレベル別に紹介していきます。

自動運転レベル3

自動運転レベル3の自動走行装置搭載車両は、すでに一部の大手自動車メーカーを中心に実用化されています。国内では2020年の法改正を機に、トヨタや日産、ホンダなどが続々と自動運転レベル3相当の自動走行装置搭載車を生産しています。一方で、生産されるすべての自動車にこのレベルの自動走行装置が搭載されるには、2026年から2030年までかかると考えられています。

参考:IT総合戦略本部「官民ITS構想・ロードマップの全体像」

自動運転レベル4

IT総合戦略本部が発表した資料によると、2025年までに自動運転レベル4の実用化を目標に掲げていることがわかります。自動運転レベル4は、限定する範囲の走行であれば完全に運転操作に注力する必要がない状態です。別名「ブレインオフ」とも呼ばれ、高速道路の入り口から出口までの運転操作を自動運転化してくれます。

画像引用・参考:IT総合戦略本部「官民ITS構想・ロードマップの全体像」

自動運転レベル5

2030年以降、自動運転レベル4の車両が浸透してきてレベル5の車両の開発が進むとされています。そして、2040年には自動運転レベル5の実用が達成されていると予測されています。現時点で完全自動運転の技術に必要なカメラやセンサーは開発済みです。スマートフォンに搭載されているセンサーは、自動運転の技術に必要な水準をクリアしています。自動運転レベル5の実用化は、予測を上回るスピードで達成される可能性もあります。

参考:東洋新聞「結局『自動運転』はいつどのように実現するのか」

自動運転の実用化に向けた各社の取り組みと現状

国内外問わず自動車メーカーを中心に、自動運転の実用化に向けた取り組みが活発になっています。ここからは、国内の自動車メーカー3社と海外のメーカー2社の研究開発の現状について紹介していきます。

事例1:トヨタ自動車

トヨタ自動車では高速道路、自動車専用道路の本線から分岐までの運転操作をアシストする「Toyota Teammate Advanced Drive」という機能を開発しています。自動車に搭載しているナビに目的地を入力すると、システム対象範囲の道路では自動運転で運転手のアシストを行うという機能です。MIRAIの一部グレードに標準装備しており、すでに一般販売されています。

画像引用・参考:トヨタ自動車「MIRAIトップページ」

事例2:日産自動車

日産自動車では、「ProPILOT」という機能を搭載している車種でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動化してドライバーをサポートしています。また、バージョンアップ版の「ProPILOT2.0」では、高速道路の入り口から出口までをハンズオフで走行することができます。また、「ProPILOT Remote Park」という機能では遠隔操作で駐車が行えたり、「ProPILOT Park」では駐車時の操作サポートを行うことが可能です。

画像引用・参考:日産自動車「自動運転化技術 Intelligent Driving」

事例3:ホンダ自動車

ホンダ自動車では、2021年3月に自動運行装置「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」を実現した「Honda SENSING Elite」を搭載している新型LEGENDを販売しています。トラフィックジャムパイロットは、渋滞時にアクセル、ブレーキをAIが自動で操作して追跡、走行を代行する機能です。この技術は、自動運転レベル3に該当しています。

画像引用・参考:ホンダ自動車「自動運転技術の取り組み」

事例4:アウディ

ドイツの自動車メーカーアウディでは、「Audi AIトラフィックジャムパイロット」という機能を開発しています。Audi AI トラフィックジャムパイロットは、一定の条件下での運転操作をAIが代行することで、自動車の運転操作を完全自動化する機能です。例えば、高速道路の渋滞により時速60㎞以下で走行する場合に、Audi AI トラフィックジャムパイロットは効果的です。また、アウディは世界に先駆けて自動運転技術の開発に着手している企業です。今後も自動運転レベル4の機能を搭載した車種の発表に期待が掛かります。

参考:ヤナセ公式アウディ情報サイト「アウディの自動運転がレベル3(条件付き自動運転)を実現!」

事例5:テスラ

イーロン・マスクがCEOを務めるアメリカの自動車メーカーテスラモータースでは、最新の車種に「オートパイロット機能」と「フルセルフドライビングケイパビリティ」という仕組みを標準搭載しています。オートパイロット機能では、8台のカメラと高感度センサーを使用することで、高速道路や自動車専用道路内での自動運転が可能です。フルセルフドライビングケイパビリティは、出発先から目的地までの経路選択、すべての運転操作をAIが行う仕組みです。自動運転レベル4に限りなく近い技術であると言えます。

画像引用・参考:テスラジャパン「オートパイロット」

自動運転の実用化についてのまとめ

自動運転が実用化されることで交通事故件数の減少、渋滞の緩和というメリットがあります。また、自動運転はすでに6段階のうちのレベル3まで実用化しています。

現在、国内外問わず世界中の自動車メーカーが、自動運転技術の研究開発に勤しんでいます。今後は2025年に自動運転レベル4、2040年に自動運転レベル5の実用化が達成されることが予測されています。今後も自動運転の技術開発の進捗、その根幹を支えるAI研究の発展から目が離せません。

この記事を書いた人

AIに関する情報を分かりやすく発信していきます。G検定取得。日々、最新のテクノロジーへのキャッチアップやデータサイエンスの学習に奮闘中。

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